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伊勢形紙見学・其の三「職人」 [製作中]

翌日,浅生形紙店のご主人から話を聞く.絵師の方も今は絶えてしまったそうで,新作は望めそうにもない.最も若い方も早くになくなられたようだった.その小林さんという方が修行しているところを長年見ていたそうで,葉書サイズの紙に筆で点ばかり一年,小さな四角ばかり一年,+-模様を半年,ひたすら描きつづける,,といったことを云いつけられていたのだそうだ.育てるのはとても大変だということがとてもよく判る.そうした絵師は,今でいう“パクられる”と困るので,作業するところを中々見せたがらないそうだ(と,云っても今ではそう簡単に真似られないと思うのだが・・・).三重県立博物館での特別展示目録に,作品が掲載されていた.
外国で記された英語の本が,最も詳しく日本の形紙文化を紹介していた.塩野米松氏あたりが訳してもいいのではと思う.旧いが好い資料本もお持ちだったそうだが,こちらは客に貸して戻ってこなかったという.
話のあと,形職人のYさんの元へ車で連れて行っていただいた.案内人は三年前から修行中,という店の若旦那である.こうして作業を見学に来る作家はあまりいないそうで,喜んでくださっていた(それで昨日から皆びっくりするほど親切なのだなぁ).形を作るときにも作家の貌が思い浮かぶわけだから,思い入れも違ってくる,と.これからも図案を作るのなら製作現場を見知っておかないと,打ち合わせもスムーズに行かないだろうし,描き直しや無駄が多くなってしまうと考えてのことだ.例えば,線は最低7ミリ幅,できれば8ミリ欲しいとYさんは云われていた.そうでないと染める際に「泣く(にじむ)」のだそうだ.昔は道具も材料も,そして腕も,全て好いものが揃っていたため,細かい図案でも何とかなった.今後はそれを念頭に置いて製作できるだろう.
広重の様な浮世絵師も,版元を介して彫師や摺師が作業する現場に立ち会って,打ち合わせをしたのではなかったか...東海道広重美術館あたりで,浮世絵ができるまでの工程で,そのことが紹介してあったように思う.とおい浮世絵師の人々を何だか身近に感じられる様な気がした.

色々訊いて感じたのは,とにかく職人が居ないということだ.
モノの需要が無いので,食っていけない.
材料や道具を作る職人からまず居なくなってゆく.
例えば,絹糸で作られていた「紗」は,もう手に入らない.
製作風景150511 (Medium).jpg
「紗」とは網戸の網のようなもので,形紙の下に貼り付けて(紗張り)使う.他の形紙店では次々と樹脂製に変わっていく中,浅生さんのところでは最後まで何とかならないか手を尽くしたが,現在では止むを得ず樹脂の形紙と樹脂の紗になってしまったのだそうだ.樹脂の紗には樹脂の形紙しか張れず,丈夫ではあるが,彫りにくい.これが手に入らないと柿渋で作る和紙は染色用には使えず,装飾・美術品(つまりこれは形紙ではなく切り絵である)のみの用途となってしまう.
染めない部分に使う糊を手に入れるのも,一苦労であるらしい.業者が廃業してしまったため,浜松あたりの他の業者から入れたところ,細かい模様に効かないものになってしまったが,しばらくこれを使わざるを得なくなった.最近のことだが,自前で作るようになってから,劇的に変わったと聞く.
いまは,専業分業と云っておれない,道具も材料も自前でやらなければならぬ世知辛い時代なのだ.

今回おぼろげながら知った,手拭製作の際,形紙製作に関わる人々は次のとおり.
わたしは形紙店に形彫り職人が詰めていて製作しているのだ,とばかり思っていたが,そうではなく,形製作は形彫り職人の各個人宅で行われていた.

絵師
(図案柄製作)
形彫り職人(染職人も)を指定するマニアックな人も居るらしい

手拭店
(手拭製作プロデューサー,浮世絵の版元と同じ役割)
形紙店選定

形紙店
(形紙製作プロデューサー)
形彫り職人(紗張り職人も?)選定

形彫り職人
(形製作;つりがついたままの形紙)

紗張り職人
(形に紗を張(貼)る)

形彫り職人
(形製作;つりを除去)

形紙店

手拭店

染色工程へつづく..

聞きかじって記したことなので,間違い勘違いがありましたら
修正いたしますので,どうぞご指摘をお願いいたします.



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